中高年登山者の事故増加

中高年登山者の事故増加

中高年登山者の事故

永い積み重ねと歴史のなかで登山者は山岳会をベースに、より高度、より困難を求めてきました。その中で登山者自身の責任、自然への責任、スポーツとしての責任を果たすよう努めてきました。ところが1982年頃より、このような伝統的な登山を行うものに加えて、さまざまな登山を楽しむ人々が急激に増加してきました。特に中高年齢者の増加が著しく総理府の世論調査から算出した推定の山や自然を楽しむ人は約500万人とされ、その内の65%強が中高年齢者であることは周知の通りです。

その背景には、中高年層の余暇時間の増加と活用、健康づくり、自然との触れ合い志向の高まりがあり、いわば生活と絡んだ登山で、かつ広い範囲にわたって楽しんでいます。また、山岳環境も新しい登山者のニーズに答えるべく、交通手段や施設は便利になり情報も充実し、誰でも楽にそして気軽に登山することが当たり前となりました。しかし、中高年登山者の多くは山岳会等の団体に所属しておらず訓練や教育を受ける機会が少なくその結果、高山病・疲労・未熟な技術・経験不足・無理な登山計画・トレーニング不足等、訓練や学習不足が原因で起こる遭難事故が多発し、その発生率は全発生件数の80%近くとなっており社会問題化しております。

今後の課題として、以下の通りと認識しており、各岳連(協会)や他の山岳団体と協力しながら課題解決に全力で取組んで参ります。

  1. 遭難対策の各テーマに対応できる人材の確保
  2. 中高年登山者の研究と事故防止の具体的な対策と呼びかけ
  3. 山岳レスキュー講習会マニュアルの充実
  4. 各都道府県岳連(協会)との連携と情報の共有
  5. レスキュー協議会・文部科学省登山研修所との交流と事業の促進
  6. 山岳共済の加入啓発と内容の改善
 

遭難対策委員会からツアー登山者への呼びかけ

  1. いざと言う時、全員を助けることは至難です。
  2. 計画については自分で確認する。
  3. ツアーからはぐれることがあるかも知れません。
  4. 自分で要否が判断できない装備はツアー会社に聞く。
    勝手に判断したら自己責任です。
  5. 事前にそのツアー会社のより易しいツアーに参加する。
    いくつかのツアーに参加し、良い会社をみつけましょう。
  6. 安いツアーには安いなりのリスクがある。
  7. 参加者同士仲良くし、足のあった仲間を探そう。
    一緒に行動した方がリスクは減らせます。
  8. ツアーの責任者は誰か確認し、意見は責任者に言う。
    責任者に伝わらなければパーティーの決定に影響しません。
  9. お金よりも命が大切です。
    体調が悪い時は命に代えられないので参加をやめましょう。
 

ツアー会社は次のような法的責任を持っていると考えられます。
このことから、ツアー登山者は上記のようなことを注意し、ツアー会社にははっきり物申すようにしましょう。

  1. 主催者と参加者には契約関係があります。
  2. 添乗員やガイドは契約に基づいて、客を案内すること、客に装備や行動について指示をしたり、危険を回避するための措置をとるなど客の安全を確保すべき注意義務を負う。
  3. 旅行業者には運送や宿泊を手配する義務、旅程を管理する義務、適正な広告を行う義務、ツアー登山の危険性の説明義務などがある。
  4. 参加者が契約して承認した危険の範囲内の事故については自己責任を負うが、これは添乗員やガイドが注意義務を果たす事を前提としています。
  5. 客の危険性の承認の範囲は対象のツアーによって異なる。
  6. 添乗員やガイドと旅行業者は連帯責任となる。

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